…掴んだ腕から僕の手に、彼女の震えが伝わってきた。
本当は怖かったんだ…。
「あとつけるなんてひどいよ…」
「自分を大切にしないのはもっとひどいよ」
「自分のために稼ごうと思ったんじゃん!悪い?」
「もっと…ちがう仕事があるだろ!なんで援交みたいなこと…」
「今すぐに大金が欲しかったのよ!引っ越すための…」
「まだそんなこと言ってんのかよ」
「どうして!?高原くんなんでそんなに私なんかに構うの!?私がどうしようと関係ないじゃん!」
「…あるよ」
「同級生だから?…高原くんは優等生だから同級生が道はずれるのを見てられないんでしょ。…だから私あなたの前から姿消すから!」
「好きなんだよ!」
勝手に…僕の口から出ていた。
「今更…何言ってんだって思うかもしれないけど…、頼むからいなくなったりしないでくれ…」
「…………」
彼女は何も答えず走り去った。
僕は…
自分でもびっくりしていた。