僕だって…苦しかったんだ…。








夜明け前、中で彼女がぼんやりしている様子が見えた。

目が覚めたようだ。

僕はベランダで一晩過ごした。



「目が覚めましたか」

「どっ泥棒!?…高原くん!なんで!?なんで外から入ってくんの!?」

「福澤さんが眠ったから、僕は外にいたの」

「へ!?…ここどこ!?」


彼女はゆうべのことは何も覚えていないようだ。





「どおりで。私の部屋にしてはあっさりしてるなぁと思った。ごめんね、なんだか迷惑かけて」

「それはいいんだけどさぁ…、なんであんなに酔っ払ってたの?」

「……………」


間をおいて、彼女は話し始めた。



「…高原くん、同窓会行かなかったんだね!」

「うん。…え、福澤さん行ったの!?」

「ううん、みんなが来たの。私が働いている料亭に…」

「そうなんだ!それで盛り上がってあんなに酔ってたん…」

「誰も私に気づかなかったよ」

「え…まさか、そんなはず…」

「ないよね!中身は変わったけど外見はさほど変わってないでしょ?」