中学時代のことに触れるのはもうよそう。
彼女にとってはやっぱり苦しみでしかなくて、いい思い出さえも思い出したくないんだ…。

必死で忘れようとしてるんだ…。

今日彼女の涙、大切な思い出を投げ捨てた行動を見て改めて知った。

今の彼女を見ていきたい…と、僕は思った。






「雨宿りしてもらったけど結局濡れちゃったね」

「いいよ、暑いからちょうどいい」

「そう?何のおかまいもしませんで」

「何言ってんだよ。麦茶おいしかったよ」

「気をつけてね」

「うん。あ…」

「ん?」

「ずっとここにいるよな…?」


僕と会ったから、またいなくなってしまいそうで、不安になったから聞いた。



「…いるよ。なんで?」

「だって福澤さん、次会いに行った時もうそこにいねぇんだもん」

「えー、そう?たまたまだよ」

「また来ていい?」


…彼女は、あの夜別れた時のようにただ笑っていた。



「絶対来るからな!引っ越すなよ!」


僕は念を押して、帰った。

何をムキになっていたのか…