「いいじゃん、私があげたものなんだから!」


僕は土手を下り、川へ入ってキーホルダーを探した。



「やめなよー、危ないよ!」


とめようと、彼女も下りてきた。
けれど僕は探し続けた。



「もう!高原く…」


…なぜか僕の目からは涙がこぼれてきた。
それに気づいた彼女は…何も言えなくなった。






どれくらい川に入っていただろう。
僕の手と足はしわしわにふやけていた。




「…見つからなかった」

「ばかじゃないの?こんなことして…」


彼女は僕の体に付いた川のゴミを叩き払った。


「だって、大切な思い出だろ!?」

「思い出なんて必要ないよ」


冷めた感じで言い放った。

彼女にとっては、大切な思い出じゃなかったのか…!?

僕は勝手に舞い上がっていたのか…。
本当にばかみたいだ…



「虹…消えちゃったね…。こうやって何もかも消えちゃうんだよ…」


そう言う彼女の横顔は悲しくて…なんだか切なくなった。

過去は消えちゃった…消してしまいたい。
そう…聞こえた。