「いやぁ、まいった。あんなに晴れてたのにな。福澤さん大丈夫?」
「え?何て言った?」
「びしょぬれだって!」
「…わかんない、ちょっとあがってって」
雨音でお互いの声が聞き取りにくかった。
彼女は自分の部屋に僕を案内した。
彼女の部屋は…すごく女の子だった。
女の子らしい小物やインテリアで溢れていた。
「狭くてごめんねー、はいタオル」
「ありがとう」
かおりも…いいかおりだ。
…なんだかドキドキしてきた。
「まぁ雨がやむまでゆっくりしていきなよ」
彼女は麦茶を出してくれた。
「悪いな…」
「ううん。んあー、夏はやっぱり麦茶だね!」
…この大都会で、10年ぶりに彼女と偶然再会して、これで会うのは3回目…
変化を遂げた彼女が、今僕の前で笑っているのが、まだなんだか不思議だ。
だけど、懐かしい気持ちにも…なる。
「…それでさ、どうする?」
「え、なんだっけ?」
「同窓会だよ。今度の日曜。関東の連中が集まるらしいんだ」
「行かない!」