「…家には帰った?」

「うん」

「ご両親とは和解したの?」

「そりゃあね。私もいつまでも子供じゃいられないし」

「そうだな…。よかったな」

「うん。…高原くんはいつ田舎に帰ってきたの?」

「10年前」

「……そう」

「あ、別にみやびと別れたからどうこうってわけじゃないよ!ちょうど赴任が決まったんだ」

「そう。…ならいいけどさー」






彼女は、ずっと外を眺めている。



「10年も20年も経つと田舎もすっかり変わっちゃったねぇ」

「そうだな」




長い月日はいろんなものを消して、創っていった。



人の心も…




胸を焦がす思いでしみじみとなった。



…のに。



「…くっ、くくく…」

「何だよ…!?」

「ははは、だって高原くん“おじん”なんだもん!りんちゃんが言うからおっかしくって!」

「…勝手に笑ってろ」

「ははは…あーあ。よかった、私は“お姉ちゃん”で。“おばん”て言われたらどうしようと思ったよ」

「あー、よかったね。おばん」