…なんでだろう

ぼんやりと彼女の姿が見えた。



僕は夢を見ているのか…?


夢の中でまでも僕は…




「高原くん!」

「みやび……夢でも嬉しいよ。一緒に帰ってくれるんだね…」

「夢じゃない!現実!ここは病院!」

「……病院!?」



やっとハッキリ目が覚め、僕は飛び起きた。


…でも状況がよく把握できない。
僕はなんで病院のベッドにいるんだ…!?

なんで彼女がここに…




「…えっと、僕はどうして…?」

「昨日、雪の中で冷え切って倒れたんだよ。由衣ちゃんが運んでくれたんだよ…」

「ええ!?…そうだったのか?全然おぼえてね…」

「ばかじゃん!あんなとこで…本当に朝からずっと待ってたの?ばかだよ…」



彼女は目を潤ませ、冷え切った僕の手を痛いくらいにさすっていた。


もしかして…一晩中ついててくれたのか?





「ごめん…心配かけて…。それとさ…」

「目も覚めたし、私はもう帰るね!じゃ…」



そそくさ帰ろうとする彼女の腕を、僕はとっさに掴んだ。