その音を聞きつけ、



「はは…かっこわるいな。…ありがとう」



彼女が呆れ顔であとがえってきて手をかしてくれた。





立ち上がっても、その手を僕はいつまでも離したくなかった…




「…離して」



彼女は、そんな僕の気持ちを突き放した。




「じゃ、気をつけて歩いてね」

「待って、僕はみやびに会いに来たんだ!話をしたくて…」

「話すことなんて…もうバスが来ちゃう、由衣ちゃん行こう!」

「明日の朝…ここで待ってるから!どうしても話したいんだ!ずっと待ってるから!」




降りしきる雪の中、ちょうど来たバスに2人は乗り込んで行った。









翌朝、僕はゆうべと同じ場所で彼女を待っていた。




ずっと…ずっと…








気がつくと、雲の合間から顔を覗かせたのは夕陽だった。



彼女は…来なかった。






でも僕は、いつまでもそこから離れることができず…



うつむいていると、目の前に突然缶コーヒーが現れた。

僕ははっとして顔を上げた。



「風邪ひきますよ。どうぞ、これあったかいです」