…彼女の食事のペースがだんだん落ちてきた。

昔の面影が見え、僕は思わず微笑んだ。


「…何?」

「なんか、給食時間思い出しちゃって」

「えー、のたのたってこと?はは、私たまにしか行ってないのによく覚えてるねぇ。そういう高原くんだってそんなに早い方じゃなかったじゃん」

「そうそう。僕もよく昼休みまでかかってた。一緒にのたのた食ってたよな」



思い出話に花が咲くかと思ったけれど…

僕は無神経だった。

不登校だった彼女はきっと、学生時代のことなんか思い出したくもないはず…。
それなのに僕は学生時代の話ばかりしていた…。

僕がそれに気付いたのは、彼女の食事がストップしてからだった。



「…ごめん」

「え、何が?なんで謝るの?」

「なんか……。黙っとくから食べて」

「あ、これ?違う違う。始め勢いつけたからもうお腹いっぱいになっちゃったの。やだ高原くん気ぃまわしすぎ!」


彼女はあっけらかんと、そう言う。

本当に僕の気のまわしすぎ…か?


「でも残すのもったいないね…」