2人で遊園地に来たのも初めてだ。

いつも近場の公園やスーパーや、お互いの部屋でのんびりするのが僕らのデートだったから…。





「うううっ」

「何も泣くことないだろ」

「泣いてないもん!」

「もう…じゃあれで休憩しよう」



僕らは観覧車に乗り込んだ。
これならゆっくりだからいいと思った。

けど…



なんだか、密室で2人とも黙り込んでしまった。


僕も彼女も外ばかりみている。






だんだん高くなってきて…
彼女が苦笑しながら言った。



「…これも地味に恐いよね!」

「高所もだめなのか?」

「しかもこれ揺れるじゃん!」

「揺れないよ」

「揺れるよー」

「大丈夫だよ、落ちやしないから」

「うう…」



彼女は不安げに下を見下ろしている。





僕が…いるだろ。




「なっ何!?動いたら危ないっ!」

「危なくねぇよ!…そっち行こうかと思ったの!」

「なんで!?そんなことしたら傾いちゃうじゃん!」

「傾かないよ!ははっ、みやびってほんと…」