「あー、おいし」

「まさか今まで仕事だったの?」

「そうだよ。だから言ったじゃん!」

「お待たせ致しました。チーズグラタンセットでございます」

「わーい、ありがとー」



よほど腹が減ってたのか、彼女は勢いよく食べている。

学校の給食の時は食べるのが遅くて昼休みまでかかってたっけ…。


「…んゲホッ、ゲホッ」

「大丈夫か?慌て過ぎだよ」

「あー…、苦しかったぁ。高原くんは何も食べないの?」

「僕はもう、待ってる間にたくさん食べたよ」

「そうなんだ。で、何か用だったの?」

「いや、別に用はないけど、話でもしよっかなぁ…って」

「そうか、おしゃべりになった私のことがめずらしくって!」

「いや……まぁせっかく会えたんだしさ」

「ふーん。…高原くんも東京に来てたんだね。何してんの?」

「一応役所に…」

「へー、じゃあ公務員?さすがだねぇ」

「そんな大したことないよ。…福澤さんはなんで東京に?」


彼女の顔が一瞬強張ったような気がした。

けれど、


「なんとなく!」


笑って答えた。