「別に……。まぁなんか落ち込んで見えた時もありましたけどね」

「それはなんで!?」

「知りませんよー。彼氏でしょ?しっかり見てたらわかるんじゃないっすか?」



そう言って、啓太くんは去っていった。




…痛い言葉だった。



この約1ヶ月、バイトだから会えないと言われ、僕も会いに行かなかったことを悔やんだ。









夜、再び彼女の部屋を訪れると…留守だった。

由衣ちゃんと出かけたのかな…?









あれからもずっと、啓太くんの言葉が僕の頭の中を駆け巡っていた。


彼女に会わないと…

しっかり見ていないと…、本当に彼女は僕の前からいなくなってしまう…。



こんな時に限って仕事がえらく忙しい。

帰りに寄っても彼女はいない。
電話もつながらなかった。



そうこうしているうちに、また週末がやってきた。






早朝、僕は着信音に起こされた。



「んー……はい。もしもし…」

『おはようっ!私だよ!』

「みやび!?」



とても元気な、彼女の声で一気に目が覚めた。