ープルルル…





『はい。どおしたの、まだ仕事中じゃないの?』

「ごめんな…」

『…何、なんか悪いことしたの?』

「ごめん…」



僕は無性に、彼女に謝りたくなった。

僕らがあたりまえのように勉強して、遊んでいる時も彼女は独りでずっと苦しんでいたんだと思うと……




『…ヘンなの!』

「…ヘンだよな。じゃあまたな」

『…?』






その時、彼女と母が偶然会っていたなんて…



「俊平だったの?」

「はい…」

「しょうがないわね、勤務中にまであなたの声が聞きたくなったのかしらね!」

「ははは…」





そこに、帰宅途中の賢ちゃんまで現れた。



「賢ちゃん!学校…行けたの?」



賢ちゃんは小さく頷いた。



「よかったわね!頑張らないとだめよ!」



母が激励すると、賢ちゃんは何も言わず、そのまま帰っていった。



知らないおばあちゃんにいきなりそう言われて、きっとびっくりしたに違いない…。







「あの子、福澤さんの知り合いだったのね。今朝俊平が何かあの子のことを心配して早めに出勤したのよ」