母と押し問答してる間に、もう3人の姿はなかった…。





「…気の毒ね、あちらの親御さん。うちはよかったわ。あんたたちがまともで」



母がぼやいた。



「かわいそうなのは賢ちゃんの方だよ、あんなに怯えてんのに気づきもしないで、挙げ句の果てには…あんなの虐待じゃねぇか!」

「あんたはまだ親じゃないからわからないのよ。ほら、あんたも早く行かないと遅刻するわよ!」



母は僕の肩をぽぽんとたたき、戻っていった。








僕は……1日中考えていた。




「高原、これ頼む」

「はい。……増永さんはちゃんと学校行ってました?」

「は?なんだよいきなり。あたりまえだろ」

「すみません、へんなこと聞いて…」



先輩は首を傾げて、行った。






あたりまえ……か。






あたりまえって…


何だろう…?




僕もあたりまえのように学校に行き、あたりまえのように就職して、あたりまえのように…







じゃあそのあたりまえのことが困難だった彼女や、今も苦しむ不登校の子達は…