父親…が出てきた。



「ちょっとこの子の右手をはずしてくださいな!」

「何だよ、朝っぱらから外で大声を出すな!恥さらしじゃないか!」

「あなた父親でしょう!?私ばかりに押し付けて…少しはこの子のこと考えてください!」

「俺はおまえらに食わすために仕事に行くんだぞ!おまえはどうせ暇なんだからおまえが考えろ!」

「なんですって!?私だって………」



夫婦喧嘩が始まった…



賢ちゃんは2人の影でふるえていた…





「もうっ!あんたのせいでお母さんが責められるじゃないよ!」



ーパシッ!



「ちょっ…!」




2人の影で怯える賢ちゃんを母親は怒鳴り、父親は強くひっぱたいた。



僕は見ていられず、賢ちゃんを助けようと身を乗り出したが…

母が僕の腕を掴んだ。



「…何!?」

「見ず知らずのあんたが行ってどうするっての!?」

「知ってる子なんだよ!…あの子が気になったから今朝は急いだんだ」

「…どこまでの知り合いだか知らないけど、他人様の家のことに立ち入ったらだめよ!まして…あの子不登校児みたいね」