ずっと黙って聞いていたお巡りがしめようとした。



「……ええ」



母親は少しひるんだようだ。



「じゃあ君たちももう帰りなさい。さて、私も戻ります。また何かあったらご遠慮なく」





お巡りが帰ると、何もなかったように母親は、僕たちに見向きもせず賢ちゃんの手をひき、家に入った。



「ちょっと待てよ…!」



腹の虫がおさまらなかった僕は家に乗りこんでやろうとしたけど、彼女が僕の腕をひき、首をふった。



「だけどさぁ!」

「…もういいよ。賢ちゃんがかばってくれたから」

「……そうだな」





彼女は顔を見せなかった。
きっと涙でボロボロだったんだ…。





「…ふ、ははっ、なんで私が不登校だったこと知ってんだろ?おっかしー。もしかして世界中の人知ってたりして?ははっ」



「みやび…」



僕は…何て慰めたらいいかわからず…



「…よし、こんな時はやけ食いだ!な、行こ!」



彼女の肩にまわした僕の腕を、彼女はそっとおろした。