「ぼく賢、8才です。よろしく」
「お、おう。よろしくな」
…かわいいじゃねぇか。
「ね、何して遊ぶ?」
「僕ヨーヨー持ってるよ」
「え、なんで持ち歩いてんの!?」
「密かな趣味で」
「へぇ、知らなかった」
「賢ちゃん、好きか?」
「やったことない」
「じゃ教えたる」
初めて見た時は、影で怯えてるようだったけど、一緒に遊んでいるうちに賢ちゃんの表情は穏やかになっていった。
きっとものすごい勇気を出して、外に出てきたにちがいない。
「あは、賢ちゃんうまいじゃん!」
「おねえちゃんもやってみて」
「え、どうすんの?…こう?…あれ?」
「はっはっはっはっは…」
彼女の下手さに僕らは思わず大笑いした。
「そんなに笑わなくてもいいじゃん!こうでしょ!……あれえぇ!?」
「こうだよ!」
見てられなくて僕は彼女に手ぞえした。
「…おお、できた!あは、おもしろーい!」
こうやって、しばらく僕らは何も考えずに、ただ楽しい時間を過ごした。