わかってる。

…わかってるつもりでいただけだった。


僕は優等生なんかじゃない。
弟に説教されちまう情けないやつだ…。



「悠二、これガソリン代な」

―チャリン…

「ん?なんか落ちたんじゃねぇ?」


ポケットから財布を取り出す時、さっきとっさに入れたキーホルダーだった。


「あー、それ懐かしいな!アニキそれ鞄につけてたよな。確か女の子にもらったとか…」

「うっせぇよ…!」

「まだ持ってたのかよ。もしかしてそれくれた人のこと…」

「じゃあな!みんなのこと頼んだぞ!」


変に勘ぐるから僕はさっさと車から降りた。






平日に戻った。

キャバクラ通いは減ったものの、僕はいつも彼女を探している。

彼女に返すための1万円札をいつも財布に入れている。


だけどもう…、少し諦めかけていた。



そんな矢先のことだった。
森が彼女を見掛けたと言う。



「いつ、どこで!?」

「1週間くらい前、パチンコ店で働いてたぞ」

「早く教えろよー、どこのパチンコ店!?」


森に場所を聞き、僕は急いでそこへ向かった。