話をしている内に沈んだ男が仰向けで浮上した。
しかも気絶をしたまま…
「怖かった?」
『別に』
プイっとそっぽを向くと同時に呆れた溜め息。
「たく、素直じゃねーな」
そんな言葉が耳に入れば、暖かい大きな手に私の手は包み込まれた。
いや、無理矢理手を繋いで握り閉められた。
『え、葵!』
「どうせ暇だろ?二人で抜けようぜ」
眩しい太陽に照らされた葵の笑顔は、冷めきった私の心を暖めた。
「何か食いたいのある?」
『夏といえば、かき氷!』
「よし、海の家にでも行きますか!!」
横に並んで二人で砂浜に立つ海の家に向かった。