すると遠くから

「斎藤!斎藤!」

って声が聞こえた。



それがあの日とかぶった


あの日、斗真の友達は

私のことを斎藤斎藤って

連呼したんだ……



やばい!!

震えが止まらない


お願い、こっちに来ないで…



どんどん足音は大きくなった



もうやだ。斗真のことも

あのことも忘れたいよ……



「お願い。やめて。こっち来ないで。斎藤って呼ばないで。お願い。」

私は何がなんだか分からなかった


「おい!斎藤!しっかりしろ!」


ゾワゾワゾワ………



「斎藤って呼ばないでーっ!」
そこに橘くんがいることも

忘れて私は叫んでしまった










「あいか」




そう言って橘くんは

私のことを抱きしめてきた



「もう、大丈夫だから。落ち着けって。な?教室戻ろう」



まだ震えは止まらなかった



橘くんは私をひょいと

持ち上げた。。。



「これなら戻れるだろ」


そう言った橘くんの

顔は真っ赤だった