いつも木曜日の6時間目にあった美術が
今週からB日課からC日課になった関係で
5時間目までになったから
今日は日課変更で
3時間目にあった。

「もしかすると今日の授業は最後かもしれません。」

やったー
という声が
所々聞こえる。

でもはっきりいって
みんなちゃんと授業してない人
多い。

ちなみにあたしは正直
嬉しくない。

前の授業を
思い出した。

あたしは
そっと目を閉じた。

ちょっと前のことなのに
すごく前のことみたい。

それは
隣の男子の一言からで

「ねぇ。梶山はなんで男子が好きな子にあげるボタンは第2か知ってる?」

…。

そういえば

「知らない。」

「心臓に1番近いから」

1番近いから…

「そうなんだ。よく知ってるね。」

「これ常識!聞いてみ?」

そのとき
あたしの斜め前の席の
鈴村が戻ってきた。

「なんで第2ボタンなん?」

「心臓に近いからだろ?」

鈴村は不思議そうに
あたしをみた。

「よく知っちょるやん。」

「あげよっか第2ボタン?」

「鈴村はあげる人おるやん。」

突然話に入ってきた遥子。

そんなの知ってるよ…

でも。

「だからあげようか?」

「えっでも」

「鈴村はおるやろ」

遥子の言葉で
返事すら返せない。

「誰があげるかー!」

「誰がもらうかー!」

ちょっとだけ
信じちゃったじゃん。

もしかしたらって…。

あたしに見せた
鈴村の顔が
今までにみたことないくらいに
真剣にみえてしまったから…