最近は
お兄ちゃんと会わない。

夜も最近帰ってきてないみたい。

「お母さんー!お兄ちゃんはー?」

「知らない。」

冷たく返された。

変なの。

「家出だよ。家出。」

健人が言うには
家出は初めてじゃないらしい。

あたしが修学旅行の時も
お兄ちゃんがイライラしてて
喧嘩になったらしい。

けど
別に変わった様子なかったけど…?

「今回何かあった?」

健人は
首を傾けた。

「彼女ん家にでもいんじゃね?」

「ふーん。」

お兄ちゃんはもう二十歳だもんね。

別に変わったことじゃ
ないよね?

だけど
お兄ちゃんいないと
家がかなり静かだよ?

話す話題がないよ…

お兄ちゃんいなきゃ
あたし寂しいよ?

お兄ちゃん今何してる?

きっと
あたしがメールしたら
いやでしょ?

お兄ちゃんがいなきゃ
家でも寂しいんだから。

帰ってきてよ…



「ただいまー」

あたしは勢いよく部屋の扉を開ける。

玄関にダッシュする。

「美優どうした?」

いつもと変わらないお兄ちゃんが
なぜか懐かしくて…

「おーい。聞いてますカー?」

お兄ちゃんは
あたしの頭をくちゃくちゃにする。

お兄ちゃんは
何があっても
離れないよね?

あたしはお兄ちゃんに抱きついた。

「美優…」

お兄ちゃんは
持ってたカバンを置いて
あたしを優しく抱きしめた。