「突然入らないでくださいよ」
天蓋のようなモノで覆われているベッドらしきモノの向こうから、少し不機嫌そうな遠矢くんの声が聞こえる。
「申し訳ありません王政様」
「…何の用ですか?」
「王政様に会わせろと言う方が現れまして」
「…僕に、ですか?」
「はい。
しかもその方、櫻刀保持者でございます」
「櫻刀保持者っ…!?」
シャッとカーテンが開け放たれる。
驚いた顔をした遠矢くんと、あたしの目が合う。
…久しぶりに見た、遠矢くん。
あたしの目からは、涙があふれていた。
「遠矢くんっ…!」
「小町さんっ…!?」
コホン、と小さく咳払いをした遠矢くんが、あたしをここまで連れてきてくれた人に出て行くよう命じる。
その人が出て行くと、遠矢くんはあたしの傍に来た。
あたしはそれを見て抱きついた。