「ちょっと……っ。
 響哉さん、私、自分で脱げる――っ」

ちゅ、と、後ろ頭にキスが落とされた。

「大きくなったんだね、マーサちゃんは」

そこまで言うと、シャツを脱がせたことに満足したのか、響哉さんは後ろから私を抱き寄せたまま静かになった。
耳元に聞こえてくるのは、規則正しい寝息。

でも、私としてはキャミソール越しに当たる響哉さんの胸に、脈が上がる。


本当はもっと考えなきゃいけないことがあるのに――。

カルロスの言葉を。
事件の意味を。

事故がもたらすメッセージを――。

でも、響哉さんに抱きしめらている間は、その全てを忘れてしまう。


気づかぬ間に私は、響哉さんに抱きしめられたまま、眠りに落ちていた。