そう言うと、先生は時計を見た。

「さぁ、話はこれで全て。
 もう1時過ぎた。
 今日はお休み」

「……はぁい」

眠くなっていた私は素直に返事をする。


それから、なんとなく後ろを振り向いて躊躇いを覚えた。

「……でも、響哉さん……大丈夫なんですか?」

先生は、アメリカ人並みのオーバーなジェスチャーで肩を竦めて見せた。

「さぁ。
 婚約者同士がナニをしようと、別に構わないんじゃない?」

「……仮にも養護教諭の言うことですか?」

私の言葉に、先生はしれっと言う。

「だって俺、教諭の前に須藤家の関係者だからね。
 むしろ、彼が次期当主になれるような行為は積極的に応援するよ」

最後に、『Have a nice night!』(素敵な夜を!)と、意味ありげに言い捨てひらりと手を振ってから、先生は部屋から出て行った。