言って、私を抱き寄せようとした瞬間。
私の左腕のリングが引っ張られた。

バランスを崩して、ベッドに倒れこむ。

「ハイハイ。
 お前の彼女に手を出しません」

先生はそう言うと、倒れた私を放ったままベッドから立ち上がって、椅子に座りなおした。

「……本当に響哉さん、寝てるんですか?」

私はそおっと起き上がりながら先生に聞く。

「疑いもなく寝てるよ。
 でも、――寝ている響哉に触ったことある?」

「キスしようと思って近づいただけで起こしたことなら――」

「いや、別にそこまで具体的に語ってくれなくてもいいんだけど」

苦笑する先生に、私は思わず頬を染める。

「ま、ともかく、響哉の眠りはそのくらい浅いってこと。
 だから、少しでも時間があればそこで睡眠を補給しようとするんだろうな」