先生は、ちらりと、倒れて寝込んでいる響哉さんに視線を投げた。

「本当に、今、聞きたい?
 響哉の代わりに俺が慰める羽目になるような気がするんだけど……」

「大丈夫ですよ。
 先生に迷惑なんてかけません」

先生は、瞳を丸くしてから口角を引き上げる。

「別に、迷惑だなんて思わないよ。
 ……ただ、口説き落としたくはなるかも」

色っぽい笑みを浮かべて顔を近づけてくるので、困ってしまう。

「えっと。
 須藤と違ってロリコンじゃないとか、友人の子供には手を出さないとか、言われてましたよね?」

焦る私に対して、先生は余裕の笑みを浮かべて見せる。

「だってほら、俺、響哉の影武者だから。
 困ったことに、あそこまで真似すると、結構思考回路も似てくるんだ。
『俺はマーサを泣かせたくない』」

「……そうやって響哉さんの物まねをちょくちょく挟むの止めて下さいっ」