頭が真っ白になった私は、ふるふると首を横に振る。
寒くも無いのに、身体中が震える。
今更ながら、恐怖がこみあがってきて、それが涙を押し流していった。

「いやっ。
 いやぁ……っ」

響哉さんは私を腕の中に抱き寄せてくれた。

ひとしきり子供のように声をあげて泣き、声も涙も掠れてきた頃、響哉さんが呟いた。

「怖かったね。
 もう、大丈夫。
 本当に……俺が悪かった」

響哉さんの唇が、そっと私の瞼に触れた。
渡されたタオルで涙と鼻水でぐちゃぐちゃの顔を拭いてくれる。

「折角だから、今夜のうちに話そうか?
 アイツが――カルロスがなんて言ったか」

背中から、先生の声が響く。

――落ち着くのを待っててくれたんだ。

私は顔をあげて、こくりと頷いた。