「手錠……?」

私は寝転んだままの響哉さんを見る。
ふわりと笑って私に手を伸ばす。そうして、手首より少し上のあたりを握る。

「今朝起きたとき、マーサが傍に居なくてどれだけ心配したと思ってんの。
 だから、手錠で二人を繋いでおけば安心かと思って。
 軽くて傷がつかないようなものがあったら頼太に手配してもらおうと思って」

いくら、甘い瞳と優しい声でも、その発言内容はどうかと思うんですけど。

「ま、別にそれを何に使おうと俺が関与することじゃないけどね」

「関与してください。
 っていうか、変なものを響哉さんに買い与えないで下さい」

そう言った途端、響哉さんは起き上がって私を背中から抱き寄せた。
心臓はどきりと跳ね上がる。

……人目を気にする、とかいう発想って響哉さんにはないのかしら。

「じゃあ、他のヤツに頼むからいいよ」