「嫌だ」

「……きょうっ」

驚いて目を見開く私とは対照的に、

「だろうな」

と、佐伯先生があっさりと受け止めるから、余計に混乱してしまう。

「ちょっと、先生っ」

響哉さんはまるで同じた様子もなく丁寧な指使いで私の髪を整えながら、頭をそっと抑えた。

途端、冷たい感覚とびくりとするような痛みが首の傷に走る。

「……痛いっ」

「だろ?
 こんな意地悪な男と一緒に居ると、もっと痛い目にあわされるかもよ?」

上の方から聞きなれた声が降りてきて、ようやく私は首の痛みが佐伯先生がつける消毒液によるものだと知った。