「響哉さん――。
 本当に誰にも狙われていない?」

ベッドに座らせてくれた響哉さんにそう聞くと、彼は不思議そうに首を捻った。

「どういう意味――かな?」

「だって、昨日二人で尾行されて、今日私が襲われたってことは――。
 響哉さんだって襲われたかもしれないと思って、私――、心配してたの」

思わず眉間に皺が寄る。

響哉さんは、どうしようもないくらい切ない表情を浮かべた直後、私を胸の中に抱き寄せた。

「――俺の心配をしててくれたの?
 マーサはこんな目にあったっていうのに――」

その言葉で私はようやく思い出した。

「ねぇ、響哉さんっ」

私の焦りを隠せない声に、彼は思わず手を緩めた。
でも、私は不安で顔をあげることができない。

「――何、マーサ?
 俺は誰からも襲われてない。心配するには及ばないよ」