そっとその頬に触れるが、反応はない。

「響哉。
 携帯鳴ってる」

頼太の声で、そこから離れた。携帯はスーツのポケットに入れっぱなしにしていたのだ。

春花から……。

「先に荷物だけ、車に置いてくる」

頼太に言うと、電話と上着、そしてDVDを持って、保健室を後にした。

「何?」

電話に出る。

「例のイベント告知会見、明日だって分かってますよね?」

挨拶もなくいきなり話が始まるところを見ると、春花も相当焦っているのだろう。