頼太はデスクに置いてある一枚のDVDを渡してくれた。

「折角映画の話になったんだから、これのせいにしておけば?」

「……これなのか?」

俺の質問に、頼太は軽く頷く。

「夕べ、DVDに焼いておいた」

確かに昨日、映画の話題になったが――。

「それで、この映画の一部を見て誤解した誰かが朝香ちゃんを狙ったって言い張るんだな。
 それしか、ないだろう?」

俺が、真朝を婚約者だと公言したのは、彼女が3歳の時――。

そして、その最大の理由は。
家に対してそう公言すれば、10年以上の長い間、自由で居られると踏んだからだ。

……なんて、子供っぽい、自分勝手で浅ましい理由。

そんな俺の身勝手で、彼女は一時期、幼い命を狙われていたのだ――。


俺が彼女にことさらに優しくしてしまうのは、きっと、罪滅ぼしの気持ちから。

「そうするよ」

ベッドを見ると、真朝はまだ、深い眠りの中にいた。