頼太の言うとおりだ。

俺は、ただ、彼女に事実を伝えないのはフェアじゃないと思っただけだ。

祖父に逢って、はっきりとあの頃のことを思い出したから――。

真実を真っ直ぐ伝えられるのは、今だと思った。


ただ、それだけ。


真実を告げたところで、どうなるわけじゃない。

自分じゃ随分と成長したつもりでいたけれど――。
結局は、身勝手な『良い所のボンボン』のままなのか。


「どうすりゃ良いんだよ」

つい、口をついて出た自分らしくもない言葉を聞き逃してくれるわけもなく、頼太は皮肉めいた笑みを浮かべる。

「おや。
 お前が俺にアドバイスを求めてくるなんて。
 面白いこともあるもんだな」

……底意地の、悪い奴。