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「劣性遺伝――のことですよね? 今朝言ってたのって」

「おお、ようやくそこまで話が進んだってわけね」

授業が終わって、いつものように保健室に出向き、佐伯先生に聞くと、コーヒーカップ片手に呆れたように笑ってみせた。

ちなみに、今日は塾があるという理由で梨音は来なかった。

「じゃあ、ミスター・パーフェクトって誰なんですか?」

先生はマガジンラックの中から、一冊の本を取り出した。
それは、英語で書かれた雑誌だった。

「ま、ただのゴシップ記事だから、信憑性は保証しないけどねー。
 ここ、読んでみなよ」

言いながら、佐伯先生は、あるページを開く。

見出しには、Mr.Perfectや、sperm bank、そして、HOT、high priceなどの単語が並んでいた。
しかし、この長々と書かれた文章全部読んで理解するのって、ちょっと大変かも……。



英語長文と格闘していたら、ガラリ、と保健室の扉が開いた。

「マーサ、お待たせ……って、頼太。
 何こんな低俗なモン、俺の大切なフィアンセに読ませてんの」

響哉さんは、私の手から即座に雑誌を取り上げる。