「ずっと、夢なんて見なかったのに。
 夢にママが出てくるの……っ」

しゃくりあげながら喋る私の頭を、響哉さんは撫でてくれる。

「折角忘れてたのにっ」

ふいに居なくなった大事な人たち。
居なくなったことに、耐え切れなくて全て、自分の中でなかったことにした。

そうやって封じ込めていた記憶の断片が、どうして今になって零れていくの……。

「辛い?」

私は頷くことも出来ずに、額を響哉さんの胸につける。