「キヨ、背たかくなったね」
「えっ?」
「2年前、あたしが免許とれたての時に2人でここに来たの覚えてる?」
そう言われたらそういう事もあったな。
あの頃はまだ姉ちゃんのこと女なんて意識してなかったっけ…。
「あの頃キヨ、まだあたしと変わらない背丈だったのにね」
「何、おばあちゃんみたいに昔を懐かしんでんの?」
俺が笑うと
君は少し笑って
少し真面目に
「本当だね」なんて言うから
どこかその表情が淋しげに見えて
チクンと胸が痛んだんだ。
返りの車は
動物園に向かってた時より時間を早く感じる。
「ねえキヨ…」
「ん?」
「彼女はいるの?」
「いないよ?」