しばらくの間静かに車を走らせていると
「着いた」と言って姉ちゃんが車を停めたのは来週奈々達と来る予定だった動物園だった。
「着いたって…動物園もう閉館する時間になるんじゃないの?」
「キヨ知らないの?今の時期、夜の動物園やってるんだよ」とドヤ顔の君をやっぱり可愛いと思ってしまう自分が恥ずかしい。
「キヨ、行こ?」
手を引かれて車から引きずり出されると
そのまま自然と手を繋いだまま動物園の中を歩いていた。
僕はそんなちっぽけな事でどうしようもないくらい緊張して
動物なんか見る余裕もないのに
君は嬉しそうに目を細めて眺めている。
「みんな寝てるねー。」
不意に君が僕を見上げたから、僕はパッと視線をそらして
ドクドク激しい音をたてる鼓動を消すように息を止めた。