ガシャーン!


 乾いた音が、辺りに響き渡る。


 最後の抵抗手段を奪われた私は、完全に清明の腕の中に捕らえられていた。


 「おとなしくしていれば、優しくしてやるぞ」


 おぞましい囁きと共に、冷たい手がTシャツの下に伸びてくる。


 私は絶望の中で、目を閉じるしかできなかった。


 その時。


 バーン!! 


 と凄い音がして、扉が強引に開かれたようだ。


 爽やかな風が注ぎ込まれる。


 「兄上、おやめください」


 救世主登場の予感で、私は目を開いた。


 しかし逆光で、救世主の姿がよく見えなかった。


 「その娘は私の客人です。無体な真似はおやめください」


 穏かな声で、清明をたしなめた。