これはまずい。


 多勢に無勢。


 私は再び立ち上がり、逃げることにした。


 すでに足は傷だらけで、大地を蹴るたびに痛みが走る。


 だけどそんなこと言っていられない。


 捕まったら大変なことになる。


 「待て!」


 「捕まえろ!」


 当然部下たちは、私を捕まえようとする。


 しかも連中は狩の帰りらしく、全員馬に乗っている。


 脚力ではかなうはずもない。


 だけど、深い森に逃げ込めば……。


 馬が入ってこられないほどに、込み入った森の中ならば、逃げ切れそう。


 私はそう思って、木々の生い茂った場所を目指した。


 しかし……。


 背後から馬蹄の音が響いてくる。


 風を切る気配が近づいてくる。


 急に髪の毛を引っ張られ、バランスを崩したところを腰の辺りから掬い上げられた。