「どこから来た? お前は誰だ」


 その男は馬上から私を冷たく見おろし、刀の鞘で私の顎をつついた。


 「あなたには関係ありません」


 見下された態度にむっとして、私は反抗的に答えた。


 「無礼な女だ! 水城家の御曹司・清明(せいめい)様に向かって、何て態度だ」


 周囲の取り巻きの一人が、そう叫んで私を威嚇した。


 「えっ、御曹司?」


 水城家の御曹司!?


 もしかして、酒色に耽って島を滅亡に追いやるのって、この男?


 私は清明なる男を見上げた。


 背が高くて、目鼻立ちの整った男らしい容貌をしているけれど。


 冷たい目だった。


 この世の全てを見下しているような冷ややかな瞳。