「危ない!」


 すんでのところで身をかわしたので、馬との激突は回避できた。


 バランスを失って転倒した私は、顔を上げると大勢の男たちに囲まれていた。


 「何者だ!」


 「不審な奴だ、名を名乗れ!」


 「セイメイ様への狼藉か?」


 矢継ぎ早に、質問を浴びせかけられる。


 私は混乱していて、何も答えられずにいると。


 「妙な装束の女だな」


 輪の中の、リーダー格の男が私に声をかけた。


 黒い大きな馬に乗っていた。


 派手な装束……。


 時代劇などに出てくる「かぶき者」が着ているような衣装。


 全身華やかに着飾っている。


 狩りの途中だろうか、背中には弓と矢筒を背負っている。