「だめ! 私もあなたと一緒に!」


 清廉は静かに首を振った。


 「私は罪を犯した。罪人が神の代理人になることを、神は決して許さない。だから私は、この身を挺して罪を償う」


 清廉は死ぬ気だ。


 私は悟っていた。


 「これは自然現象なんだから、そんなことをしても無意味なの!」


 「私の命と引きかえに、島の人々を救うことができるかもしれない」


 「違うんだから。だめそんなの。早く逃げて!」


 「お前は二十歳になる頃、どんなに美しくなっているか……。そばで見ていたかった。生涯を共にしたかった」


 清廉の声が、徐々に迫り来る波音にかき消されていく。