「だめだ、やはりこれは神の怒りなのだ。私を捕えるまで、神は決してあきらめずに、全てを飲み込み続ける」


 「違う! あれは自然現象! 急いで!」


 私は清廉の手を強く握った。


 清廉には叱咤激励してたものの、押し寄せる波はまるで触手のごとく、まるで清廉の命を欲しているかのように間近に迫ってきた。


 そして私たちの背後には、島の人々が逃れている裏山が。


 このままだと全員が犠牲に!


 「瑠璃、私は罪を償う」


 清廉は走るのをやめた。


 「ばかなこと言わないで! 急いでっ!」


 私は半狂乱になり、清廉の手を引いた。


 「お前は白竜に乗り、逃げるんだ」


 老婆を裏山に送り届けた白竜が、主人である清廉の元へと戻ってきていた。