「瑠璃、」


 自然の大いなる力の前には、この島の当主といえども無力であると思い知らされ、清廉はただ打ちひしがれていた。


 「やはりあれは、神の怒りだ。人々をここに逃がしたとしても、私がここにいる限り、神の怒りは静まらない。私の命をもって償うしか手段は」


 「違うの清廉。あれは自然災害なの。神の怒りなんかじゃない!」


 ……ただの津波なら。


 まさかこの屋敷の辺りまでは、波は到達しないはず。


 私はそう思って安心していたので、清廉をなだめ続けた。


 「神の怒りは尋常じゃない」


 清廉は島の低地帯で起こっている悲劇を正視していることができず、目を閉じて私を抱きしめた。