……。


 「あとは頼む」


 「若様……。またお会いできる日を信じております」


 私を逃がしてくれた侍女やじいのお孫さんたちには、真っ先に船に乗って逃げてもらうことにした。


 津波がどちらから押し寄せるか分からない。


 逆に津波に直撃してしまい、かえって悲劇を招くかもしれない。


 だけど一縷の望みにかけて、賛同者たちには船で西に向かって逃げてもらうことにした。


 島を西へとずっと進むと、やがて本州、東北地方に到達する。


 本州には災害の記録が残されていないので、そちらに逃れれば助かるかもしれない。


 ……清廉は、島に残った。


 最後の当主の、最後の勤め。


 一人でも多くの人を、救わなければならない。


 船に乗り切れなかった人たちに、高台に避難するよう指示を出した。