「だめっ、そんなの! 何もしなかったら、このまま島の人たちも犠牲になるんだから!」


 「島の民は、長い泰平の世に甘んじて堕落してしまっている。神は彼らをも許さないだろう」


 「そんな……! 誰しもが皆、堕落してしまったわけではないでしょう? まず第一に、幼い子供たちには罪はないでしょう?」


 「堕落してるかしてないか、それを選別して助けるのか?」


 「そんな暇はないの。船は何隻準備できる? 船に乗り切れない人は、なるべく高台へと避難させて……」


 私は清廉をけしかけた。


 「罪のない子供たちまで、むざむざ死なせてしまって平気なの!? それこそ神の怒りに触れるでしょう!」


 「分かった。無垢な子供たちまで、私の血塗られた運命と共にさせるわけにはいかないな」


 ようやく清廉は重い腰を挙げた。