「そうか、あんなに強引に通商を求めてきた室町幕府も、お前の時代には姿を消しているのか」


 清廉はそっと微笑み、次にこんなことを問いかけてきた。


 「その頃、この水城島は。水城家は……? どうなっているんだ?」


 「……」


 私は答えに窮した。


 「私の子孫が、島を守り続けているのか?」


 答えられない。


 「私とお前の子孫だったらいいのだけど」


 嘘をつこうにも、何て言えばいいのか分からない。


 「そうか……」


 私の無言で、清廉は事実を察したようだ。


 「お前の時代には、もうこの島は滅びているのか」


 清廉は遠い目をした。


 「永遠に続く繁栄ではないのならば、これほどまでに流した血は、いったい何の意味を持ったのか……」


 部屋に横たわり続ける、当主と七重の亡骸。


 清廉はこの上ない虚しさを感じた。