「七重、どうしてあながた清廉を庇うんだ?」


 清明がいぶかしそうな表情を浮かべた。


 「あの子は……。酒に酔っていたの」


 「酔っていれば何をしても許されるっていうのか? 第一あいつは俺の義弟であり、あなたの義理の息子ではないか」


 「それは、あなたも同じことよ……」


 七重は清明の頬に触れた。


 「いや俺は違う。俺はあなたをこの世の苦しみから救うために、生まれてきたのだから」


 「清廉はやけになっていたのよ。あの娘との仲を殿に反対され、政治的な面でもことごとく提案をはねつけられて、むしゃくしゃして。その不満を、私にぶつけようと……」


 「いずれにしても、とんでもない奴だ。父上に認められない腹いせに、あなたを汚そうなどとは。許せない!」