「清廉はあなたの帰る直前に、殿と揉めていたの」


 「ああ。あいつは夢みたいなことばっかり口にして、いつも父上と喧嘩してたからな。いつものことだろ? それがどうして突然、暗殺未遂などに?」


 「今回は違うの」


 「何か大きなゴタゴタでもあったのか?」


 「それが……」


 七重は、清明に説明した。


 数日前の出来事を。


 「何だって、清廉が七重、あなたを!?」


 清明は、信じられないといったような目を七重に向けた。


 「残念ながら真実なの。清廉は、私とあなたとの関係を知っていて、私を脅してきたのよ! 黙っていてほしければ俺の言うことを聞け、と」


 「それで……。体を要求されたのか?」


 七重は頷いた。


 「なんて奴だ! 人の私生活を散々非難しておいて、自分がやってることは……」


 「待って、清廉をそんなに責めないで!」


 刀に手をかけた清明の手を、七重は押さえた。